
今日、グローバル化の進展とともに、「見知らぬ他者」への寛容さが越境的に拡がる一方で、世界の各所でネオナショナリズムの動きが芽を吹いています。そして内に閉じこもるコミュニティが力を持ち始めています。
そうした動きは、グローバル化にたいするローカルなセーフティネットの構築のようでありながらも、それは他方で「越境と寛容」をもたらす種々の「移動」を封じ込めるものともなります。しかし、無規定的な「自由と解放」を高らかに掲げても、それはネオ・リベラリズムの論理に回収されてしまう。私たちは、ただただ強く孤独に生きなければならないのか。あるいは功利的に「社会」に帰属し続けるほかないのか―。
そこで、こうしたパラドキシカルな状況に対して存在論的な次元から「判断」する礎石を築くために、吉原直樹・東北大学大学院文学研究科教授に師事し、今日の生命論パラダイムに通底する場所/空間の弁証法的創発を視座として「場所の創発社会学」を構想し、そうした「複雑な」状況の内部に「いくつものアジア」が「場所」として立ちあがるポテンシャルを見いだし、開放/閉鎖の二分法を(その矛盾を引き受けつつ)「止揚する」非一人称的ヘテラーキー秩序の構築を、環太平洋アジアの地域コミュニティの現場から経験的に探ってきました。
2008年11月より、山形大学医学系研究科医療政策学講座の助教として赴任。医療界のオピニオン・リーダーでもある嘉山孝正・山形大学医学部長に師事し、昨今の地域医療をめぐる問題を背景に、山形全域をフィールドとした調査研究に従事しています。